2023年3月26日(日)、日本ハンズオンユニバース(Japan Association for Hands-On Universe、JAHOU)集会2023(於:理化学研究所 和光キャンパス研究本館435-437会議室)において、科学誌『TEN(Tsunami, Earth and Networking)』発行について、学而図書より皆様にご報告するお時間を頂戴いたしました。
ハンズオンユニバース(Hands-On Universe)は、世界各地で展開される高校生のための科学教育プログラムです。詳細は、下記の引用元ページ をぜひご確認ください。
HOU(Hands-On Universe)は、アメリカで始められた、高校生のための科学教育プログラムです。このプログラムに参加した高校生は、本格的な天体観測用望遠鏡を用いて自分自身の観測を行うこともできます。その観測で得られた天体画像は、教室のコンピュータにネットワークを通して取りよせられ、用意された画像処理ソフトを使って処理し、データの可視化や解析が行えます。
現在このプログラムには、7つの課題をもつカリキュラムにしたがって、丁寧な教科書(ワークブック)が用意されています。その中には、木星衛星の運動を追跡することで木星の質量をケプラーの法則により決定するという課題や、銀河の写真から超新星を見つけ出す課題、散開星団のHR図を作成し恒星の進化について考察する課題など、とても興味深いものが含まれています。そして、それぞれのトピックスについて作業をしている間に、幾何学や三角関数、対数などの数学、ケプラーの法則などの物理、星の進化や星の明るさの観測方法などの天文学、そしてコンピュータの使い方などが自然と身につくよう、工夫がなされています。
特筆すべきは、生徒が自分自身の興味関心に従い、新しい発見を体験することを主目的に置いている点です。その過程において教員は一人の協力者でしかありません。教員が生徒に知識や技術を台本にそって一方的に教え込むという従来の教授法とは明らかに異なる「オープンエンド」の新しい教育観をまさに実現しているものと言えるでしょう。一つの画像から子どもたちが何を発見しても学び取ってもかまわないのです。このため、教授法を含めた指導者講習会への参加がHOUに参加する教員には義務づけられています。
HOU活動は、NSF(全米科学基金)とDOE(エネルギー省)の補助金で運営されています。HOUへ参加している教員や科学館の職員は、米国、スウェーデン、日本、ブラジル等、あわせて300名程度です。HOUスタッフは7名います。
日本では、戎崎俊一博士(理化学研究所)らが中心となって、このHOUの活動に参加しようという動きが1996年から始まり、日本ハンズオンユニバース協会(JAHOU)を組織し、有志の手によってHOUワークブックが翻訳され、すでに日本語版のワークブックも完成しています。
集会では、学而図書代表の笠原より、ご参加の先生方に向けて「出版者から見た科学誌『TEN』発行の意義」をテーマとしたご報告を行い、現代において新たな科学誌を発行することの重要性をお伝えしております。報告内容の詳細は、以下をご覧ください。
このたびの貴重な機会を頂戴いたしましたJAHOU会員の皆様に、この場をお借りして感謝申し上げます。