去る令和6年12月20日、村田一城先生(国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所)が「港湾空港技術研究所優秀論文賞」を受賞されました。村田先生のご受賞を、心よりお祝い申し上げます。
今回の受賞は、『港空研報告 第63巻第1号』(2024年)において発表された論文「大正関東地震(1923)における相模湾海底地すべりと津波の発生について」が、極めて高い学術的価値を有すると評されてのものとなります。
村田一城先生は、これまで防災研究誌『TEN(Tsunami, Earth and Networking)』においても精力的に論文を公開されており、「1923年関東地震前後の海底地形変化について」(2021年、『TEN vol.2』掲載)「大正関東大震災の津波」(2024年、『TEN vol.5』掲載)等を通じて、その研究成果を広く世に示してこられました。これら2論文は、電子書籍『TEN Selected Papers 津波災害を根絶する』に収録され、どなたにもお読みいただけます。
東日本大震災や令和6年能登半島地震で発生した津波(NHK 24年1月11日記事)は、長らく常識とされてきた「プレートが跳ね上がることで津波が発生する」という仮説(国土交通省「津波防災のために 1. 津波はどうして起こるの?」)では説明しきれないものでした。
その中で改めて注目され、検証が続けられてきたのが「大規模な海底地すべりによって巨大津波が発生する」という仮説(海底地すべり説)であり、村田先生による研究成果は、その核心に迫るための重要な位置を占めるものと考えられます。
2014年に大正関東地震(関東大震災)をテーマとした研究に取り組まれて以来、堅実な検証と発表をひたすらに重ねてこられた村田先生の探究精神に改めて敬意を表し、お祝いとともにここにお知らせいたします。